集団間の公平性知覚

集団間(チーム、グループ、部署)の比較を公平性の判断に用いようとする動機が発生する条件はなんだろうか。


社会的比較理論によると、比較対照となる集団およびその構成メンバーが、自分および自分の属する集団と類似している、ということが1つの条件であると考えられる。


それはなぜかというと、類似した集団であるならば、公平に扱われるべきである、という意識的・無意識的考え方に基づくからである。


例えば、同じ企業に属する異なるグループやチームといったように、「同じ組織に属する」という類似性、かつ、同一集団のグループやチームであっても、その構成メンバーの属性が類似している(例えば、同じ総合職からなる)といった例である。逆に言えば、同じ組織に属していても、雇用形態が違ったり、職業が違ったりする場合(営業職からなるチームと、ITプロフェショナルからなるチーム)の場合には、集団間を比較して公平性の判断に用いるという動機付けが働く度合いは弱いと思われる。


であるからして、わが国のように、総合職として新卒一括採用し、異なる部署に配属するものの、同一企業に属する身分という意味では平等間の強い社員からなる組織においては、集団間(部署間、チーム間)の公平性を判断しようとする動機付けが高まると予測される。