組織的公正研究は、ここ十数年で大きく進展した。とりわけ、公正概念の捉え方に重要な進展が見られる。公正(公平、フェアネス)については、単に他社と比較して比率が同じかどうかとか、平等かどうかといったような、経済的な概念のみではない。むしろ、人間として尊重されているのかといった道徳的な部分についても、公正概念に含まれるとされるようになってきた。
このことから、組織的公正の研究成果が組織マネジメントに応用されるにさいして重要なのは、組織におけるシステムや手続きを公正に近づける(例えば人事考課制度)といったことのみならず、トップマネジメントやミドルマネージャーがどのように組織の人材を見ているのか。ホンネベースで従業員を尊重し、感謝し、大切に扱っているのか。その部分が、人々の公正知覚に影響し、業績に関わる行動につながるのである。