悪徳商法(リゾート、絵画等)の手口

ターゲットをキャッチ、そして商品説明(この部分は別途詳しく説明)。


「まったく関心がない、買う気もない」という状態から、なんとかターゲットをひきとめて話を長引かせることにより「商品の特徴はわかった、でも買う気はない」という状態にさせ、さらに「商品のよいところ、魅力的なところも確かにある、でも買う気がない」という状態に発展させ、さらに「こちらにとってより有利な条件にしてくれるならば、勝ってもいい」という状態に持っていく。そこまで持ってこれるとゴールにかなり近づいている。一歩一歩ステップを踏みながらゴールに近づかせる。よく使われる手段が、全く買う気のなかった客にたいして「いくらなら買うのか」と質問をすることである。これに答えることにより、状況は「買う気がない」から「買う気があって価格の交渉をしている」という状態に自動的に移行してしまうのである。

本人から「その商品(サービス)は話を聞く限りたしかに魅力的なんだけど、わたしには値段がとどかないですから」という言い訳を言わせる。もちろん、本人は本当にその商品を魅力的に思っているかどうかはわからない。けれども、この場を逃れるため、勧誘を断るために、そういった言い訳を本人の口から言わせることが重要である。実はこの時点でかなり買い手がポイントを稼いでおり、本人は不利な立場に立っている。


ひとは通常、自分の言ったことには責任を持とうとする。発言をひっくり返すようなことはしたくないという心理がある。この場合、商品やサービスの良さについては、すでに本人と合意している(つまり、後はお金の問題だけなのだ)という状況に持っていった点で、状況がかなり売り手に有利になっている。よって、ここからは話のながれを、お金の問題のみに焦点をあてるかたちにもって行けばよいのである。お金の問題さえ解決すれば、本人は商品やサービスを購入しないと、自分の話に一貫性がなくなるからだ。


売り手は支払い方法についての話をしはじめる。そこで登場する決まり手が、月賦払い(あるいは会費)であり、それが月々1万円とか2万円それくらいのものである。そして、さらに追い討ちをかける決まり文句が「月々飲みにいくら使ってますか?それなら○回くらいそれをセーブしたら払えますよね。」というように、支払いに関しては、いまの生活を工夫して無駄遣いをなくすことにより、無理のなく支払い続けられる金額であることの合意をとるように話を持っていく。


もし、このような話の流れで、本人から「たしかに、絶対無理な額ではないですね(それなら払えます)」という合意を引き出すことができたならば、すでに本人は「その商品(サービス)を買います」と言っているも同然なのである。


もちろん、本心としては、まだそんなもの買いたくないと思っているだろうが、論理的にはこの時点ではすでに「買います」と言っているに等しいのだから、そこを突くのである。例えば「さっき、この商品は魅力的だとおっしゃいましたよね」「購入の支払いについては無理なく支払える金額であることを納得していただけましたよね」「だったら、もう何も問題はないですね。この商品を買うということですね。ではこちらにサインしましょう」という誘導のしかたである。


相手に断る別の手段を考える余裕を与えないように小刻み良く話しを続けることも重要である。また、あと数点しか残っていないとか、いま意思決定をしないと貴重な機会を失うような言い方をしてせかすことも有効な戦略である。ここまで来るのにかなり時間が経過しているはずであり、本人もはやく帰りたいと思っているだろうから、その心理をうまく利用するのも効果的である。もうどうてもいいからとにかくはやく契約を済ませて帰りたいという、多少なげやりな心理に持って行かせる。つまり、冷静な判断能力を麻痺させるわけである。1対1で話していたのに知らない間に別の店員が何人か来て一緒に説明したりすると、本人もむげに断って帰りずらくなる。退室しずらい部屋に招きいれ、周りにスタッフを何人か配置することによって四面楚歌の状態にすると、本人は冷静さを失うのである。


その他のテクニックを併用しながら、契約書へのサインにこぎつける(話の流れですでに契約書の大部分に情報を記入して、あとは本人のサインや印鑑をもらうのみにしておくこともポイントである)。