頭を良くする方法

林(2006)は、人間の記憶の仕組みを解説することによって、記憶力をはじめとして頭を良くするヒントを紹介している。ここでポイントとなるのが「イメージ記憶」である。


林によれば、人は物事をありのまま記憶するのではなく、その物事についてのイメージを自分の頭の中でつくりあげ、それを記憶するという。人間の記憶はすべてこの「イメージ記憶」によって行われているというのである。一次的な記憶は短期記憶でありすぐに忘れてしまう。むしろ私たちは常日頃、一次的な記憶そのものではなく、脳内で再構成されたイメージ記憶でものを考えたり運動したりしているのである。


このように、記憶や頭の良さ、運動能力などについては「イメージ」が大切であることがわかる。私たちの脳は覚えたことをすぐ忘れる仕組みになっており、頭の中で再構成されたイメージ記憶を使っているのであるから、このイメージ記憶を鍛えることが有効なわけである。


そのためには「心」を使うことだと林はいう。私たちがものを見たり聞いたりすると、その情報に自然に感情の情報が組み込まれる仕組みになっている。よって、興味を持ったり、感動したり、関連付けたり、考えたりと心を駆使することで、いったん忘れたものもイメージ記憶として取り出しやすくすることができるようになると指摘する。つまり、?記憶する能力(知識を脳に取り込む能力)を高め、?イメージ記憶をつくる能力(知識を脳内で再構成する能力)を鍛えることが頭を良くすることにつながる。


さらに、頭が良くなるための第3段階として、覚えた知識、技を表現する「表現知能(表現する多重地の能力」を高めることを説明している。それらには一定の訓練が必要であり、これも「心をこめて」行うことが大切だと説く。さらに、頭を良くする4番目の段階が、独創性や創造力を生み出す能力(独創的創造能力)だという。独創的な戦略を考えだして勝利をつかみ取るような能力である。


以上をまとめると、①ものを覚える、②忘れた情報を脳内で再構成する、③その内容を表現する、④そこから独創的な創造力を生み出す、というのが頭を良くするコツだということである。