知識を詰め込んでクリエイティブになる

榊原(2008)によれば、感性とは美しいものを「美しい」と思ったり、美味しいものを「美味しい」と思ったりするものである。人を説得するためには、論理に加え、感性的なものも必要である。


私たちが経験することは、それぞれが全く異なったことでも、脳のネットワークでつながっている。榊原(2008)は、子供のころから現在まで、すべての経験が統合されて、いまの自分の思考を作っているという。よって、自分が五感を通じていろんなとこから感じ取った情報を「経験を整理」することは、頭の中で1つに統合する作業は創造性を高めるうえで役に立つ。例えば、いろいろな業種を渡りあるいた経験を持つ人は、それらが統合され、発想が豊かな人が多いという。仕事とは関係のない異分野であっても、それぞれがどこかでつながっているものなので、異分野に興味を持って勉強することも大切である。そもそも、混ざりけのないものは美しくないし、弱い。人間にしても、1つの世界しか知らない人間は、ナイーブでぽきっと折れてしまう。いろんなものが混ざり合った人の方が、やはり強い。


常識の壁を越えるような新しいものを生み出すためには、やわらか頭と連想力も必要だという。例えば「火薬」という戦争に使うものと「お祭り」とう庶民の娯楽に使うもの、一見すると正反対に見えるものを、うまくミックスさせた(つないだ)ことによって「花火」という新しい発想が生まれた。関係のないものから、自分にとって関係する要素を創造できる連想力が、新しいものを生むのである。全然関係のない本を読んでいたり活動をしているときに、主に取組んでいるテーマや仕事について、「あっ」と、ひらめいたりするのも同じような原理だ。


また、榊原(2008)は、創造力を高めるためには、知識を詰め込むことは決定的に重要だと指摘する。創造力を開花させるためにこそ、豊富な知識が必要だというのだ。結局、考える力は、脳の中で情報のネットワークが、どこまで多様多元にできているかによって決まる。一見関係ないように見える知識でも、それを頭に詰め込むことによって、新しい思考回路が作られ、思考回路同士が結びついて、ひらめきにつながっていく。要するに、知識の量が増えれば、ひらめくための知識の組み合わせは幾何級数的に増えるわけである。創造力というのは、知識の組み合わせを変えることなのである。


知識を詰め込むためには、何度も反復して暗記することが重要である。覚えているものと忘れてしまったものの差は、反復回数の度合いにあるからだ。