文章は読み手の立場にたって書け

堀井(2011)は、文章を書くことの基本精神は「サービス」にあると主張する。ここでいうサービスとは「何事にも優先して、とにかく読んでいる人のことを常に考えること」である。したがって、誰に向かって書いているかを明確に意識しなければならないという。読者は往々にして気まぐれである。「さほど熱心ではない読者をいかにこちらに振り向かせる工夫するのが好きであること」は重要である。


次に大切なのは「文章は人を変えるために書く」ということだと堀井はいう。どういう文章を人はおもしろいと思うのかを考えるとわかりやすい。それは「知らなかったことを知る」文章である。読んだ後、読むまえと何かが変わったと思ってもらえる(=読者を喜ばせる)ことが大切だというのである。「なるほど!」「そうだったのか!」という読後感や「何か新しいことを学んだ」「いいことを知った!」何かを得たという感覚だろう。


そのような文章には、おもしろいタイトルがつけられる。例えば逆説的なタイトルである。刺激的なタイトルは、その文章の主張がおもしろいからこそつけられるのである。具体的なテーマは小さなものでいい。例えば身辺雑記エッセイなどは「人を変える意識に満ち満ちた文章」だと堀井はいう。それをさりげなく装っていることが高度な芸当なのだという。また、人を変えるものを書くことは、心構えの問題だと堀井はいう。つねに「何かおもしろいことはないか」「新しい工夫はないか」と常に考えて生きていればよい。ある意味、真面目でない方法でいく。いままでの道や、いままでのやり方にちょっと茶々を入れてみる。


さらに「書くかぎりは断定せよ」という。断定するのは読む人のためで、「~と思う」のように断定しないのは自己弁護のためにすぎないからである。「言い切れないくらいなら、書くな」ということである。