自分自身を他人のようにコントロールする

自分が部下を持つ場合、あるいは自分が他者と一緒に仕事する場合、他者の行動については、無駄なことをしていないかどうか、仕事を効果的にこなしているかなど細かいところまで気になり、ついつい彼らの行動を監視したりコントロールしたい欲求にとらわれてしまったりするものである。とりわけ、仕事の効率性、生産性に人一倍気を使わねばならないときはそうだ。その理由は、どこかに他者のことを信頼しきれてない自分が存在するからだろう。


一方、自分自身のこととなると、つい甘くなってしまいやるべきことを後延ばしにしたり、予定を大幅に狂わせたり、無駄な時間を費やしてしまって後悔したりはしていないだろうか。私たち一人ひとりも、生産性を高め、有意義な人生を送りたいと思っている。しかし、われわれはどこかに「他人に厳しく、自分に甘く」という面を持ち合わせているのだと思われる。それがゆえで、無駄な時間を過ごしたり非生産的に一日を過ごしてしまったりする。こういったワナから抜け出し、自分自身の生産性を最大化するためには、「自分をあてにしない」ことだと大橋(2007)は言う。


つまり、自分自身の行動を他人のようにコントロールするということである。自分が決めたことを(それが適切であると仮定して)決めた通りに実行するためには、自分が、自分自身を客観的に見つめ、あたかも部下や一緒に仕事をする他者のように自分自身を監視し、行動をコントロールするわけである。そうなれば、「他人に厳しく」という部分が、自分自身の行動についても適用され、思い通りの行動成果を挙げると思われるのである。