科学による自然理解

自然科学では、宇宙、自然界は物質とエネルギーの組み合わせで作り上げられていると考える。すべての物体は物質で形成されるが、宇宙、自然界は、この物体が運動する「場」である。つまり、自然科学は、物質、エネルギー、運動によって森羅万象を理解しようとする。


このような自然現象の理解において、数式が重要な道具となる。数学は、自然を表現する1つの「言語」であり、自然を理解する1つの「道具」である。ガリレイが「自然の書物は数学の言葉によって書かれている」と言うように、人間の叡智の賜物である数学が、不思議なくらい自然界の事象を簡潔明瞭に説明する。


ただし、人間が科学的に理解する自然は、あくまで人間が説明する自然であり、真の自然である保証は皆無である。人間の認識能力には限界がある。科学は、人間に認識できる自然に限られた範囲内で、人間が理解しうる範囲内で、人間が再現可能な実験、観測で、人間自身が作り上げたものなのである。自然科学で説明する自然は、あくまで人間が作り上げた科学を通じて見た自然であって、科学が自然のすべてを説明してくれるわけではない。現在の科学の思考形式以外の見方で自然を見れば、その見方で見た、また別の自然の実態というものが見えるはずである。