時間再生術

野村(1999)は、タイムマネジメントや時間術には次の4つのジャンルがあるという。

  1. ムダな時間を切り詰めて効率化をはかることを主眼にした「時間管理術」
  2. かぎられた時間をより有効に使うための知恵である「時間活用術」
  3. 膨大な時間をきれいに整頓して、より使いやすくする「時間整理術」
  4. 忘れ去っていた時間の価値を再発見して豊かに蘇生させる「時間再生術」


そして、3と4は人生の後半にふさわしい時間術のジャンルであるとしている。


時間再生術とは、生まれ故郷への旅や過去の半生の総括を通じて、過ぎ去った時間の意義を再発見してこれからの半生に活かす糧にしたり、それまで無視してきた自宅での生活時間を見直す、など、過去の時間や葬り去ってきた時間の再生であると説明する。


過ぎ去った時間の意義を再発見することに関していえば、人生も後半に差し掛かると、これまでかなりの時間をすでにさまざまな人生の活動に費やしてきたはずである。それらの過去の時間を無視して、あるいは忘れ去って、残された将来の時間のマネジメントに腐心するのも1つだが、これまで費やしてきた時間がどれだけ有意義で価値があったのかを再発見することの意義は大きいだろう。積み重ねてきた過去の時間を再発見せずに過ごすことは、せっかくの宝物を持っているのにそれを使うことをしないで死んでいくに等しい。楽しい思い出が詰まった過去の写真集を一度も開かずにこの世を去るのと同じだということだ。


また、普段は単にルーチンワークでしかなかったりする時間の意義を再発見することは、その時間を価値のある時間に変化させることに等しいだろう。