タイムマネジメント4.0とは何か

竹村(2011)によれば、タイムマネジメント4.0とは、「時間=人生」という原則のもと、一人一人が自分の人生に対する責任を持ち、望ましい成果を長期的に得続けるために、周囲の人との相乗効果を発揮することを目指すタイムマネジメントである。


そのためにはまずもって一人一人が、自分の人生のイニシアティブは自分自身が持っているという認識下でのセルフ・リーダーシップと、時間でできている人生を無駄にしないという意味でのマネジメントを両方こなしていかねばならないという。リーダーシップは「どちらの方向に進むか」というものであり、マネジメントは「そのために限られたリソースをどのように能率的に使うか」ということであるから、車の両輪である。


次に、長期的に成果を出し続けるために、自分自身を磨くすなわち「刃を研ぐ」ことが必要だと説く。これは「自分への投資」であり、タイムマネジメント上は「緊急ではないけれども重要である」という最も注視しなければならない象限に値する。具体的には、生きること(肉体的健康)、愛すること(社会的・感情的知性)、学ぶこと(知的側面)、貢献すること(ぶれない価値観・精神的強さ)である。


そして、周囲の人々との違いを尊重し、お互い理解しあい、信頼関係を築き、ビジョンを共有することによって、相乗効果を生み出していくという。


このようなタイムマネジメント4.0を実践するのに最も重要なのが「コントリビューション・ステートメント」だと言う。これは、人生におけるミッション・ステートメントと言い換えてもよい。竹村は、人生の終わり、最終地点を意識した上で、もっとも大切なこと、価値観、なすべきこと、などを盛り込んだ「独自の憲法」をまとめることを勧める。具体的には、ニーズ(人々はどんなニーズを持っているか)、情熱(私が本当にやりたいことは何か)、才能(私が一番得意なことは何か)、良心(私は何をすべきか)という素材から自分自身と対峙することによって見えてくるという。そうしたうえで、目標から計画、実行にいたる旧来のタイムマネジメントのスキルが活かされてくるのである。