マーケティングの行動科学

青木(2010)によれば、かつてビジネスは「作ったモノを売る」という時代であり、いかに安く大量に作るかといった生産志向であった。それがモノ不足からモノ余りへ移行するにしたがい、「作った物を売り切る」という、営業力、販売力志向の時代となった。そしてさらにモノ余りが進むことによって、現代は「売れるモノを作る」というように、顧客(ニーズ)志向の時代となった。つまり現代は、マーケティングの時代であり、消費者行動の理解がより重要である。


消費者行動の理解を深めるために有用なのが「行動科学」である。行動科学的接近により、消費者が「人々はなぜ購買するのか」「どのように購買するのか」を追求するのみならず「人々はなぜ消費するのか」「どのように消費するのか」にまで踏み込むことが可能である。また、行動科学は、目に見える活動や意図的な行為だけでなく、目に見えない反応や情報処理などのプロセスにも注目するのである。