話し上手になる「笑いの方程式」

村瀬(2010)は、話し上手はセンスの問題ではなく、誰でもテクニックを見につければ話し上手になるという。その1つが「笑いの方程式」を知ることである。まずは、「フリ」を活用すること。フリとは笑いにつながるパスで、フリを受け取ったものがボケることで笑いがとれるという。


ボケのテクニックとしては、活用範囲が広いのが、本来言わなければならないことと違うことを言う「ずらし」のボケである。また、物事をオーバーに表現する「過剰」のボケもある。さらに、うまい喩えで笑いをとる「比喩」のボケ、ひねった言葉で修飾する「修飾」のボケ、前に言ったことをもう一度いう「かぶし」のボケなどもある。落差で笑いをとる「ギャップ」のボケ、フリとそろった部分を見つける「そろえる」のボケというのもあり、高等テクニックとしては、フリをそろえて、さらにずらし、オチに階段のような段差をつける「段差」のボケというのがある。


村瀬によれば、このような「笑いの方程式」をふまえたうえで、話し上手になるためには、まずは「自分自身の構造改革」を行って会話への気後れや恐怖をなくすことで、積極性を高めることが大切である。次に「話題を集める」ことである。面白いネタのパクリもよし、異業種の知り合いからのネタもよし、2ちゃんねるやB級ニュースなども活用できる。そして、人間プロファイリングで相手を分析することである。親しくない人との会話は、話せるゾーンを広げて行く作業であり、相手のゾーンと自分のゾーンが交差した「共通項」が見つかれば、一気に距離が縮まり、親密になれる。そして、空気を読んで雰囲気を作るのがよいという。


身に着けると役立つ具体的なトーク術としては「あるあるネタ」で共感を呼ぶ、ツッコミの技術を磨く、たとえ話を活用する、「ペット型人間」になって愛される会話をする、最後の言葉を足す(お盆を敷く)、などが著書で紹介されている。