オープン・エデュケーション

梅田・飯吉(2010)によると、オープン・エデュケーションの極意は「自分の置かれた環境で、利用できるものは何でも使って学んだり教えたりする」ことである。「学ぶこと」は、そのための「機会」と「必要な助け」さえ得られれば、あとは自分の志や情熱次第でかなり思い通りになるはずである。オープン・エデュケーションは、そんな「学ぶ機会」や「よく学ぶために必要な助け」を、世界のすべての人たちに最大限に増やしていこうというイノベーションなのだという。


梅田・飯吉によれば、「ウェブ」は、「私たちが人生を切り開いていくための強力な道具」すなわち「人生の増幅器」となりうる。ウェブ上では、時間や空間の制約を超えて、誰もが「好きなことを、好きなやり方で、好きなだけ学ぶ」ことが可能となる「新しい学びの世界」が無限に広がりつつある。ウェブは独学のインフラでもあり、ウェブで学ぶことは、人生を切り開いて行くことの第一歩となりうるというのである。変化が激しく複雑化するばかりの現代ではを生き抜くには、ウェブを使って「学ぶ続ける」ことが必須になる。


さらにウェブで学ぶ延長線上で大切なことが、「師」や「同志」との出会いだという。ウェブでは、志向性を同じくする人々が物理的な場所という制約を超えて出会うことができる。このように、師や同志と出会える「志向性の共同体」も広がっている。さらにその先に、良質な人のつながりをつくって、学んだこと、身に着けたことを拠り所に「職を得る、生計を立てる」道筋へとつながることが大切だと指摘する。ウェブが「人生を切り開いて行くための道具」であるということは、そういうことなのである。


そもそも「オープンエデュケーション」とは、「自分たちの持っているアイデアやノウハウをオープンにしないよりは、オープンにした方が、最終的に自分たちを利するものを増やすことができる」という「オープン・イノベーション」的な考え方に沿っている。自分が持っているものを他人に惜しみなく分け与えても、自分たちはその先のさらなるフロンティアに進み、イノベーティブなリーダーであり続けられる」というフロンティア精神に裏付けられた確固たる自信にも関連している。また、オープンということは、作り手が想像していた受け手以外との出会いすなわち未知との遭遇が醍醐味であり、予測不能ということが本質である。自分が何かを探している過程で偶然に何か別のものと巡り会い、そこからもっと素晴らしいものを見つけ出せる能力とも関連している。教育とは、皆で知恵を出し助け合えば、より良いものになるという信念や理念がグローバルにダイナミックに起こりつつあることが、人々に勇気とパワーを与えるのであろう。