数学の奥深さ

数学はどれほど奥深い学問なのか。また、私たちはどうして数学を学ぶ必要があるのか。高校の教科書の冒頭に、その理由が簡潔に示されている。


永尾汎ほか(2006)によれば、数学はもともと「数」と「図形」に対する関心から自然に生まれたもので、天文学とともに、最も早くから発達した学問である。それは数千年前に発達した古代文明とともに発生したと考えられている。


もともとは、実用的な目的で、幾何学代数学が発達したが、やがてギリシアに引き継がれて学問としての数学が始まり、紀元前4世紀頃にはすでに「証明」という概念をもって論証的な数学を築いていた。これは人類文化史上画期的な出来事であり、その後、あらゆる学問に本質的な影響を与えてきたと考えられる。


数学は、他の自然科学や最近では社会科学、情報科学などとも深く関わりながら、未知なものに対する人間本来の知的好奇心によって、広大な独自の世界を切り開いてきた。


その生命力の源は、「物事の本質をとらえる直観力」「自由で柔軟な発想による創造性」それに「論理的な思考と表現力」にあるとする。したがって、どのような方面に進む人にとっても、数学という学問のもつこのような特質を身につけることが、特に必要となってきていると説く。