ランキングが実力をつくる

世の中には様々なランキングがあり、企業や人物の知名度ブランディングに強い影響を与えるランキングも数多く存在する。このような傾向のもと、論争となるのが「ランキングが本当に実力を反映したものなのか」という問題である。つまり「ランキングは本当に実力を映し出す鏡なのか」という問いである。


結論をいえば、ランキングが正しく真の実力を測定できるとは思えない。どのようなランキングとて、人間が下す判断が含まれる。必ず、なんらかのバイアスが存在するはずである。けれども、以下に述べる理由で、ランキングが結果的には真の実力と相関してくると考えられる。これは、「予言の自己成就」のプロセスとも似ている。


仮にランキングにバイアスがかかっていようとも、影響力のあるランキングの上位に入れば、知名度やブランド力が高まる。その知名度やブランド力が、質の高いカスタマーを惹きつけることにつながる。質の高いカスタマーが集まってくれば、当然、製品やサービスへの期待も要求も高まり、企業や人物は、その要求を満たすために切磋琢磨せざるをえない。そのプロセスによって、結果的に実力が、ランキングに追いついてくるのだと考えられる。もちろん、カスタマーの期待を裏切るようなことが起これば、悪評によってランキングが低下してしまうので、ランキング上位を維持すること自体に、実力が必要となる。


このようなプロセスを理解してくれば、自社の実力を高めるための戦略に一つの有効な手段が見えてくる。それは「実力をつけて、ランキング上位に入ろう」という常識的な考えを覆すことである。答えは「(とにかく)ランキング上位を果たして、それによって真の実力を磨こう」である。先ほど述べたように、ランキングには必ずバイアスがあり、真の実力を映し出す鏡ではない。逆に言えば、真の実力がなくても、ランキングに潜むバイアスを利用すれば、上位にランクインすることも不可能ではない。そして実際にランキング上位入りを果たせれば、先に述べたプロセスによって、真の実力を高めるチャンスが増える、というわけだ。そのために、どのようなプロセス、評価基準でランキングが決定されるのかをよく研究して、その評価基準となる要素に的を絞って向上策・改善策を練るということだ。影響力のあるランキングをうまく利用してランキングによって実力を高めてもらう。これは、実力を高める一つの重要な戦略であると言えよう。