条件付確率をマスターしよう

確率思考は、成功への大きな鍵をにぎる。確率はあくまで確率(確からしさを率で表したもの)であり、絶対ではない。しかし、西内(2010)も指摘するように、人生が選択の連続であるがゆえ、長い目で見れば、確率思考に優れているほうが、成功する可能性も高まるのである。


そこでぜひマスターしておきたいのが条件付確率やベイズの定理である。これは、何か新しい情報が入ってくるたびに、その情報を利用して「確率を更新する」という手続きを定式化したものである。新しい情報が入ればそれだけ、予測する確率の精度が高まるはずである。それを正しく推論できるかどうかがポイントである。情報が得られる前の確率を「事前確率」とよび、情報が得られたあとの確率を「事後確率」とよぶ。市川ほか(1998)でも紹介されているように、条件付確率を用いた有名な問題が「三囚人問題」であり、それと関連するのが「モンティ・ホールのジレンマ」である。


なぜ条件付確率やベイズの定理が重要かというと、確率論に基づく数学的な解と、人間の直観的な解が著しく異なるからである。つまり、多くの場合、確率論的に正しくても「腑に落ちない」のである。このため、多くの人が、条件付確率が絡んだ選択の場合に、自分の直観のほうを信頼し、確率論的に間違った判断を下してしまうのである。そんな中において、確率論的に正しい選択を行うことができるならば、その場その場では確実に望ましい結果がでるとは限らないが、長い目で見れば他の人よりも有利であり、それゆえ成功の可能性が高まるのである。