お金を迂回させる消費で金融リテラシーを磨く

泉(2008)は「お金の教養」を身に着けるためのさまざまなトピックについて説明しているが、「お金を迂回する考え方」は、消費を楽しみながらかつ資産運用を勉強するうえで賢い考え方である。


例えば、職業による収入(フロー収入)がある人が、欲しい物を収入の範囲内で購入すると、それは稼いだ金を減らすだけである。フロー収入は、自分が働いて得られるお金であるから、なんらかの理由で働けなくなったときにはすぐに収入がストップしてしまう。フロー収入にのみ頼る直接購入に対して、迂回購入とは、欲しい物がある場合、フロー収入でいったん資産(ストック)を買う。そして資産が生み出す投資収益(たとえば金利=ストック収入)で欲しい物を買うようにするわけである。迂回させることによって、いったんフロー収入をストック収入に変換したうえで購入するようにする。ストック収入は、自分が働かなくても自動的にお金を増殖させる機能があるので、フロー収入がもつリスクのヘッジにもつながる。


直接購入に比べ、迂回購入のほうが当然手間はかかるし苦労はするだろうが、その分、資産運用の経験とスキルが身につくので、欲しい物が手に入ると同時に、欲しい物を手に入れるためのエンジンとなりうる「資産」そのものも増えていくことにつながるだろう。このような形で金融リテラシー(お金の教養)を身につけることも可能なのだ。