質より量の発想術

奥野(2008)は「いいアイデアは大量のゴミアイデアの中から出てくる」というポイントから、質より量の発想法を説いている。つまり、質の良いアイデアというのはどれだけたくさんのゴミアイデアを出したかで決まるので、「量が質をつくる」ともいえる。いいアイデアを10個出したいのであれば1000のゴミアイデアを、20個出したいのであれば2000のゴミアイデアを思いつけということである。


例えば、女優の写真を撮るとき、プロカメラマンがマシンガンのように撮影した数百枚の写真のうち、「奇跡的によく撮れた1枚」がパッケージ写真に使われると、女優がじっさいよりも美人に見えたりする。プロでさえ、それだけたくさん撮る。逆にいうと、素人であっても何千枚も写真を撮れば、プロが100回シャッターを押して得られる写真を超える1枚を生み出すことができる。プロとの差も、単純な物量で埋められるというわけである。


よって、質はおいておいて、とにかく量を出すことが大切であるという。自分の脳にたくさん刺激をあたえ、そのレスポンズを得る。例えば、毎日日記を書けといわれてもなかなかネタがなくても、海外旅行に行けば書きたいことはたくさんでてくる。それだけ「よい刺激を受けている」からアイデアがたくさんでてくる。とにかく関心を高くして、何事にも節操なく手をつけ、刺激を受けやすい土壌を作っておくことが大切なのだという。


出したアイデアはどんどんメモやノートとして蓄積していく。そして、ときにはたいした目的もなくそのノートを眺めるのもいいという。そうすることによって、新たな発見や思い付きがでてきたり、過去の情報が発酵していい具合になっていることに気付くこともある。