職業は生き様を映し出す

梅澤(2008)は、キャリアは日本語で言えば「職業的生き様」だという。つまり職業と生き方はセットであり、生き方は働き方に支えられ、働き方は生き方を規定する。人は生きつつ働き、働きつつ生きることを重ねるなかで成長していく。仕事は人生のエンジンなのである。


また、梅澤(2008)は、「職業人は社会人、社会人は職業人」として、職業は人と社会をつなぐものであることを強調する。職業には、個人と社会の双方にかかわり、かつ社会と個人をつないでいくという意味合いが込められている。個人のためにならない仕事は職業としての意義が薄く、社会が期待する仕事をしないと、社会のなかの居場所が影の薄いものになる。つまり、職業に就くことで「一人前の人間」というだけでなく「一人前の社会人」となる。


よって、職業選択にあたっては、「やりたい仕事」「好きな仕事」「向いている職業」いった自分の気持ちのみを先行したり「自分探し」に翻弄されるのではなく、「社会理解」を深め、社会が要請する職業を探すことに方向転換すべきであると主張する。職業は、社会が要請する仕事と事業の中にあるのである。