攻めの直観力、守りの論理的思考力を磨く

目が覚めるような鋭い切り口の解決策を提案したり、すばやく現状を把握し、物事の核心に迫るのに重要なのが「直観」である。いわゆる「筋の良い」アプローチが瞬時に浮かび上がってくるような能力で、論理的に積み上げながら考えて出てくるものではない。したがって、直観は攻めの能力であり、直観力を磨くことによって、問題解決への攻撃力を高めることができる。


一方、「あたりのついた」解決策や、直観的にわきあがってきた暫定的な見解がほんとうに正しいのかどうかを検証するための道具が「論理」であり、論理的であれば誰もが納得するように説明もできる。したがって、論理は守りの能力であり、論理的思考力を磨くことによって、自分の出した問題解決提案などをディフェンスする防御能力を高めることができる。


つまり、とりわけ創造的な問題解決にいたる思考には必ず「飛躍」がある。つまり、突然すばらしいアイデアをひらめいたりすることによって得られることが多いのである。ニュートンがリンゴが木から落ちるのを見てひらめいたのと一緒である。しかし、すばらしい問題解決は論理的にも適切である。数学の証明ならばそれは論理の鎖である。しかし実際には論理的に考えた積み重ねによってそういった結論が導かれたのではなく、飛躍的に見出された結論を説明し、その正しさを担保するために論理が使われるのである。


「ひらめき」に代表される直観力と、クリティカルシンキングなどの論理的思考力は一見するとまったく別の能力のように見えるが、実はつながっている。例えば将棋のプロ棋士は、論理的につながった数多くの定跡や対局の経験の膨大な蓄積があるからこそ、論理的にも正しい「筋の良い手」が、直観で見えてくるのである。