算数脳を呼び覚ます

ビジネスパーソンにも必須の論理的思考力やクリティカルシンキング力をつけるためには、小学校の算数や中学校の数学を勉強しなおして、算数脳を呼び起こすのがよいかもしれない。


なぜなら、高濱(2005)が言うには、算数とは「考える力そのものを扱う教科」だからである。論理的な考え方、そこには見えないものを見るイメージ力、思いがけないところからヒントを拾い上げてくる柔軟性など、思考力に関するすべてが算数にある。しかも、大掛かりな実験器具も必要とせず、紙と鉛筆と三角定規くらいがあればできる。数字も0から9まで書ければよいというシンプルさの中で、自分の頭ひとつをフル回転させ、漏れや矛盾なく思考を積み上げていく、すなわち「考える」こと自体を追求するのが算数なのである。あるいは算数脳は「生きる力」といってもよいかもしれない。


算数脳を呼び覚ますための復習をするならば、「場合の数」「立体」「整数問題」に取り組むとよいだろう。高濱(2005)によれば、これら3つの種類の問題で試される「算数脳」は、「見える力(イメージ力)」と「詰める力(やり遂げる力)」に分かれる。「見える力」は、思考力そのもの、本体部分であり、図形センス(補助線などが浮きだって見える)、空間認識力(頭の中で立体を回転させたり、立体の見取り図が描ける)、試行錯誤能力(手も動かしてあれこれ試す)、発見力(既存の枠を外した思考ができる、習っていなくても自分なりに解決方法を見つける)に分かれる。「詰める力」は、論理性(論理的に考えることができる)、要約力(要するに何が言いたいかがわかる、的外れにならない)、精読力(読み落としや読み違いがなく集中して読める)、意志力(負けず嫌いで、やり遂げる意志と喜びを知っている)に分かれる。


これらの能力(=算数脳)は、ビジネスパーソンとしての生きる力にも直結しているといえよう。