キャリアのプロトタイプ


キャリアといってもさまざまな職業、さまざまな展開があるが、とはいっても、なんらかのプロトタイプは存在する。すなわち、キャリアの「型」である。多くの人にとっては、自分にあったキャリアの「型」を探し、いちおうのキャリアの型を決め、状況に応じてそれをアレンジしていく。つまり、即興的にキャリアを進んでいくわけであるが、いちおうの型は持っているということになる。型のない即興は、根無し草のようである。


もちろん、既存の型にこだわらず、独自の型を作っていくという人もいるだろうが、その人はある意味、開拓者であり、多数派ではないし、時代の寵児ともなるような人かもしれず、相当の実力がないと難しいだろう。


即興を繰り返すうちに、1つの型から別の型に移行するということもありうる。大きな断続的変化もあるだろう。大企業で管理職に昇進するようなものは、見かけ上は断続的であるが、ひとつの型の中での予定された変化であるとも解釈できる。


環境は、安定的かつ直線的な場合と、不安定・不確実性が高く、曲線的(非線形的、複雑系)の場合とがある。前者の場合は、成功する型にうまく乗れば、順調に進んでいくことができる。後者の場合は、即興によって不確実性とうまく呼応しあうことが重要であろう。即興は、不確実性からくる機会をうまく自分のキャリアに生かしていくことを可能にするのである。