就職活動の本質

就職活動は、多くの場合、新卒学生が社会人になるために仕事を探すプロセスを指す。就職活動は字義どおりに解釈すれば、就職をするための活動であるわけであるが、それだけだろうか。


就職活動は、最終的に、社会人として出発するための就職先を決定するという結果が出るわけであるが、もっといろいろな目的があると思われる。例えば、就職活動は、いろんな業界、いろんな会社、いろんな仕事について見聞きし、学習する優れた機会を提供する。就職活動ほど、自由にいろいろな業界や会社の人と会ったり話したりできる機会は、人生でもそう多くない。


また、就職活動は、何ヶ月もかかる息の長いプロセスである。そこでは、人生を見直したり人生計画を考えたり、自己分析をしたり、キャリアデザインやキャリア発達という視点からみても、さまざまな効果をもたらす。また、目標を定めて、手順を踏んで会社を受験し、失敗して落ち込んだり、内定をもらって喜んだりしながら、モチベーションや自己管理をしていくプロセスである。高校受験や大学受験と似ていなくもないが、自分で目標を設定して自分なりに戦略をたて実行するという一連の自律的なプロセスを体験できるまたとない機会でもある。


業界や会社や仕事のことを知るだけでもない。就職活動では、同じように活動しているさまざまな学生と知り合いになることもできる。つまり、就職活動を通じて、今後のための人脈(ネットワーク)作りをすることもできるのだ。


就職活動を、単に就職先を探すことであると割り切ってしまうと、希望の職につけたつけなかったで喜んだり落ち込んだりするだけで終わってしまう。そうではなく、就職活動を字義通りに解釈せず、もっと幅広い学習機会・優れた体験であると理解して活動すれば、これほど人生にとって有意義な時間をすごせることはないだろう。