長期的好循環をもたらす人的資源管理

人的資源管理の要諦は、AMR (Attracting, retaining, and motivating valued employees)である。つまり、会社の発展に貢献してくれる価値ある人材を惹きつけ、引きとめ、そして能力開発や業績にむけたモチベーションを高めてもらうということである。


特に、日本企業の場合、優秀な新人が入社し、実際の会社の業績を左右するくらい重要なポジションにつくまでに10年以上、じっくりと熟成させていく。よって、現在の時点で良い人材が獲得できたならば、その人材がずっと企業に留まり、かつモチベーションを維持し続けることを前提とするならば、企業の好業績に反映されるのが10年後ということになる。


そして、企業の業績や評判がよければ、それは志願者からきたブランドの向上につながるので、優れた人材を惹きつける力が高まり、良い人材を獲得できるチャンスが高まることになる。このような好循環がうまく回っていけば、企業は順調に発展することになる。ただし、好循環のサイクルが大変長いので注意が必要である。


逆にいうならば、現在の時点で採用活動をいい加減にやったりして採用に失敗すると、当面の間は企業業績には影響を与えないが、10年後ぐらいにその影響がきて企業競争力が落ちてしまうことになる。そのときにあわててももう遅い。競争力を失った企業の魅力は薄れ、よい人材を獲得できなくなり、悪循環が始まってしまうのである。


また、せっかく良い人材を獲得できても、その後の引止めとモチベーションに失敗してもダメである。AMRがすべて機能してはじめて、長期的好循環が実現するのである。