年齢の逆転

日本では、いくら優秀であっても、若い人材が年上の人材の上に立って指揮をとっていくということが、とりわけ大企業では難しいようである。


タテ社会、目上を敬う日本の文化としての要因もある。しかし、本当に優秀ならば、若い人にでもついていこうという気持ちは日本人であってもあると思う。自分がその人に仕えることによって、自分自身もよい仕事ができ、人間的に成長することができるのならば、年齢は関係ないはずである。


問題は、大企業の場合は、それなりに高学歴の人材も多く、みながプライドを持っているために、自分よりも若い人間に先を越されるのを相当に嫌うという傾向はあると思う。かつ、大企業の場合、長期安定雇用のため、人材育成方針としても、若くて才能のある人間を、年齢を飛び越えて英才教育し、実際に抜擢するような経営は控えるだろう。極端な話、社員の延長線上で経営者になっていくので、年次を大切にするのが従業員意識の安定にもつながるだろうし、自分が歩んできた伝統を変えていくことには抵抗があろう。


また、大企業に入る若い人材についても、同様に、安定志向というか、秩序維持型というか、寄らば大樹の陰というか、年上を飛び越していこうという気概がある人は少ないように思われる。このように、従業員側、経営側、若年者などすべての面において、若くて粋のよい人間が年上であってもぐいぐいと引っ張っていくような風土は生まれにくいと思われる。