思考停止を招く「人事」


企業で働くひとりひとりの持つポテンシャルを最大限に引き出し、そのパワーを企業目的の実現に向けて結集させるによって価値を創造する。これこそが、企業活動のうち「ヒト」の部分を中心とするマネジメントのはずである。


しかし、これを実現するためにどうすればよいかと考えようとするときに「ウチの会社の人事管理はどうあるべきか」「人事部門としては・・・」「新人事制度の構築に向けて・・・」という話になると、私はいっきに思考停止に陥ってしまう。はじめは上にあげたような企業業績を高めるためにはどうすればよいか、働く人々が生き生きと実力を発揮するにはどうすればよいかというたぐいの議論のはずであったものが、必ずといっていいほど制度設計屋さんが議論の場に紛れこんできて、いつしか、制度設計の議論になってしまう。しかもそれはいつも本質的には同じ(狭い)問題を堂々巡りで議論しているようだ。


そういう意味で「人事」という言葉は、思考停止を招くマジックワードのようにさえ思えてくる。「人材マネジメント」でもよいのだが、まだ多少、「人事」の臭いは残る。