外向きの人事部、内向きの人事部


企業の人事は基本的に内部管理だから、人事部の仕事はだまっていれば自然と内向きになる。賃金の仕組み、評価の仕組み、人事異動、どうしたらみなが納得するか、不平や喧嘩を抑えられるか、といった内部の心配事に終始し、なるべくそれがおこらないように慎重に制度作りや制度の改定をし、実施にも組合との折衝など慎重に慎重を重ねる。その結果、人事部の仕事は作文作業になりかねない。


これからの人事部は、そんな内向きの人事部ではなく、外向きの人事部であるべきではないだろうか。外向きとは文字通り、外を向いているということだ。企業の中ではなく、外、いかにしてビジネスを発展させていくのか、どうやって新たなお客さんを獲得するのか、他にビジネスチャンスはないか、新商品の可能性はないか、というように、外へ外へと気持ちを向ける。


そうすることによって、わが社のいまのビジネスニーズはいったいなんなんだろうか。そのビジネスニーズを満たすために、人材が気持ちよく働いてくれるために、人事としてはどのようなサポートができるだろうか、という視点から仕事をするのである。あくまで、外を向きながら、ビジネスを発展させるための人事なのである。そうすれば、内輪の揉め事や不平のことばかり気にして縮こまった仕事にやり方にはならず、もっと大胆かつダイナミックに、企業の人々が生き生きと働けるような仕組みを作ったり施策を行ったりすることができるのではないだろうか。