優れた中小企業の見つけ方

近年は就職氷河期であると言われている。しかし海老原(2011)は必ずしもそうでないことを示唆する。その鍵は、中小企業に注目することである。例えば、従業員1000人以上の大手企業における大卒求人倍率はこの15年間0.5倍〜0.8倍なのに対し、中小企業の新卒有効求人倍率は2010度のような「超・氷河期」においても4倍以上だったと指摘する。


そもそも日本の企業の99%は従業員300人未満の中小企業である。平均値で見ると中小企業での待遇は大企業よりも劣っているかもしれないが、大企業よりも利益率の高い会社、将来性の高い会社、働きがいのある会社など、優良企業はたくさんあるという。したがって、名前だけの大企業や給料に魅かれてブラックに行ってしまうより、正しい眼で中小企業を選ぶ方が重要だということを海老原は示唆する。


海老原(2011)に掲載されている福井県立大学の中沢氏は、中小企業は大きくなれない会社ではなく、大きくなる必要がない会社だと考えるべきだという。中沢氏は「企業の将来性は、従業員数や営業所の数などのサイズの問題ではない」という。例えば、中小企業の規模が大きくない理由の一つに「大きくなる必要がない」というのがある。ものづくりで抜きんでた技術を持っている場合がその例だという。


中沢氏は、優良中小企業を見極めるポイントは「財務体力」「技術の将来性」「社長」だという。「財務体力」に関して言えば、取引先がどうであるか、20年以上続いている会社かどうかを見る。「技術の将来性」に関して言えば、特定の領域でブランド力が構築できているか、狭い領域でもいいから国内、海外でトップシェアを持っているかなどを見る。そして、社長の考え方に共感できるかどうかである。