集中力をコントロールするACDCプロセス

佐々木(2009)は、ブロードバンド、サードプレイス、クラウドといった環境を駆使してオフィスを持たずに仕事をする「ノマドワーキング」において重要なのは、アテンション・コントロールだという。すなわち、知的生産においてもっとも付加価値を生み出す源泉あるいは認知資源が、アテンション(集中力や注意力)であるから、これらを最大限に活用して付加価値に結びつけるためのコントロールが、仕事を成功させる鍵であると考えられるのである。


アテンション・コントロールの具体的な方法として役立つのが、ACDCプロセス分類で、Aは(acquisition:取得する)、Cは(clasify:整理する)、Dは(dig:掘り下げる)、Cは(collaborate:連携する)の略である。仕事の内容がこのプロセスで分類されることによって、今何をしているのかが明確になると同時に、もっと重要なこととして、自分のアテンション(注意力・集中力)の状態に応じて、このACDCを使い分けるのである。具体的には、集中力が高まっているときには「掘り下げる」「連携する」という作業をし、集中力が低い状態のときは「取得する」「整理する」という作業を行うのである。後者はリラックスした状態でもできる、単純作業が多い仕事である。そして、集中力が高まった状態のときに一気にDCに集中して成果を出すようにするのである。