見えない時間(潜在時間)の活用術

野崎(2009)は、見えない時間(潜在時間)を活用することで、一日24時間が36時間にも72時間にもなることを示唆している。見えない時間とは、意識して使う「顕在時間」とは異なり、活用しなければそのまま過ぎてしまって戻ってこないような時間である。潜在的に有効な時間になるポテンシャルを持っていながら、普段、見過ごされがちな時間である。


人生にとって有限な時間を有効に使い、時間価値(バリュー・フォー・タイム)を高め、タイムパフォーマーになるには、睡眠時間を削るといった安易な方法ではなく、自分の潜在意識を利用するパラレルな時間術を活用することによって、時間を創造することの必要性を説いているのである。


例えば、何かをしているときに並行して別のことをするようにすれば、異なるプロジェクトが1つの時間に同時進行することになり、利用可能時間が倍増する。一番簡単な類が、移動時間、待ち時間をその目的のみに使わず、目や耳を使って読書やリスニングをする時間に充てる。


もう少し高度なテクニックとしては、途中で問題解決思考を伴うプロジェクトをする場合、作業と作業の区切りにある程度の時間を設けると、別のことをしているときにも、進行中の課題、問題について潜在意識が考えてくれる。つまり、プロジェクトの作業を行う顕在時間と顕在時間のあいだに潜在時間を挿入することによって、その時間帯に、潜在意識が無意識のうちに仕事をし続けるように仕向けるのである。これを「潜在時間サンドイッチ法」と筆者は読んでいる。


「パラレル時間術」にもさまざまな方法がある。例えば、単純作業時間と頭を使う思考時間を同時並行させれば、これも利用時間を倍増できる。さらに、思考時間については、複数の思考すべき課題を決めて、複数のことを同時に考える「パラレルシンキング」を活用すれば、潜在意識もフル活用しながら、意識的にも無意識的にも思考作業をすることができる。これも時間を創造するテクニックである。