キャリア論

キャリアとは何か

キャリアとは、自分が主人公のドラマを展開していくことである。ドラマにはいくつかの特徴がある。例えば、おもしろいドラマというのは、波乱万丈の人生を描いたものが多い。いくら成功していても単調である成功物語はおもしろいドラマとはいえない。キャリアデザインとは、ドラマのプロットあるいはシナリオを構想することである。キャリアのドラマはこれからずっと続いていくわけであるから、今の時点で、どのように自分が主人公のドラマを展開させていくのか、大まかな構想(計画)を描くわけである。もちろん、それはあくまで今の話。ドラマの進展によっては予定変更というのも大いにあるし、それを楽しむというのも醍醐味である。


他の人に語って面白がってもらえるキャリア(ドラマ)にはメリットがたくさんある。他人が面白いと思うことは大抵、自分が面白い。逆にいえば、自分にとって面白いからこそ、他の人も面白がってもらえるだろう。だから、そういうキャリアを歩んでいる人は人生自体が面白い。スピーチで困らない。自分のキャリアを語るだけで他の人に受ける。喜んでもらえる。異性を口説ける。直前の例の応用である。ビジネス書や小説をかける。小説にできるほど面白い人生ではなくても、ビジネス書(ハウツー本)レベルであったら、自分の体験・経験を交えて文章が書ける。キャリアがおもしろいと自分自身への魅力が増す。面白い人だと印象を持ってもらうことによってさらに有利なキャリアを展開することが可能となる。

優れたキャリア戦略とは奇なるもの

魅力的なキャリアを歩むためにはなんらかの戦略が必要である。よい戦略とは何か。戦略論によると、優れた戦略はたいてい、そのときは「奇妙」なものであり、誰もが「首を傾げる」ものである。つまり、他とは違う。もしその時点でその戦略が優れているということがわかっていたら、誰もが同じ選択をするので優れた戦略とはなりえない。そして、成功が確定してから、過去を振り返ってその戦略のたくみさに納得するというものである。つまり、最初は「首をかしげる」もので、あとから「なるほど!」と誰もが納得するもの。これが優れた戦略である。最初はその戦略の成功の論理に多くの人が気づいていないので「奇妙」「首を傾げる」という現象が起こるのであり、成功してしまえば、なぜそれが優れた戦略であったかは論理的に説明することは容易になる。


キャリア戦略についても同じことが言える。多くの人が「えっ?」「どうして?」「それはおかしいんじゃ?」と思うようなものであり、かつ、自分の中では成功への道筋がある程度はっきしているもの。これを目指すのがよいであろう。見た目が奇抜なだけでは優れた戦略ではない。(他の人は気づかなくても)成功への論理が内包されていてこそ、優れた戦略なのである。