コンピテンシー面接に勝利する

入社試験において、本人が優秀かそうでないかを見分けるために「コンピテンシー面接」を取り入れている企業が増えている。コンピテンシーとは、入社後、高い業績をあげる人に共通する行動特性(クセもしくは習慣)である。面接官は、この手法を使うことによって、本人が優れたコンピテンシーを持っているかどうかを見定めようというわけだ。では、コンピテンシー面接はどのようにして実施されるのであろうか。以下にポイントをあげよう。

これまでの人生で最も重大なライフイベントを聞かれる

社会人経験のない新卒の場合、「あなたが今まで達成したことの中で、一番大きかったのは何ですか」とか「これまでどのような挫折・失敗経験をしましたか」といったような、これまで生きて来た中で重大な出来事を聞く。その理由は、そのときにどのような行動をとったかを知りたいからである。経験者採用の場合は、過去の仕事での成功体験や失敗を克服した体験などを聞かれる。

そのときとった行動やその理由を細かく聞かれる

「そのときどうしましたか」「それはなぜですか」「次に何をしましたか」「それから」というように、そのときに本人がどのように考えてどういった行動をとったのかを再現させる。ここでしっかりと思い出せず、あいまいな返事が出てくる場合には、普段からあまり深く考えて行動していないことが露呈してしまう。重大な局面で、しっかりと考えて行動している人は、あたかもいま、その状況に自分がいるかのようにすらすらと答えることができるだろう。面接官は、そのときの状況をしつこく質問することによって、本人の思考や行動の特徴を丸裸にして理解しようとする。

行動にはレベルがある

普段から深く考えず、場当たり的な行動をしていれば、それは低レベルの行動であり、重大な局面においてもおそらく場当たり的な対応に終わってしまうだろう。そういった行動しかとれない人は、入社後も同じような行動をとるだろうと確信できる。これまでよりも状況を格段に改善させるような優れた行動が取れる人は、入社後もそのような行動が期待できる。すなわち活躍が期待できる。過去のライフイベントでどのような行動をとったのかをあらわにしていくことによって、本人のひとつひとつの行動のレベルが高いのか低いのかが判断される。


このように「コンピテンシー面接」では、過去に具体的に何をやったのかを事細かに聞かれるため、その場でのごまかしが一切きかない。聞かれることはすでに終わった過去の「事実」なのである。過去の自分を丸裸にされて調べ上げられるわけだから、そうとう手ごわく、逃げ場がない。逆に言うならば、普段からレベルの高い行動を行なっているならば、面接ではただそれを思い出しながら生き生きと答えるだけでよく、こんなに楽な面接はないかもしれない。要するに、小手先のテクニックではなく、普段の生活態度、普段の行動のレベルを高め、習慣化することが、コンピテンシー面接で勝つ秘訣である。授業で積極的に発言するとか、アルバイト先で革新的な提案をするとか、人が集まるところでは常にリーダーシップを発揮するとか、仕事がデキル人というのは、学生時代から頭角をあらわしているはずなのである。