プロフェッショナル=刀を持った職人


プロフェッショナルとして最も典型的な職業は、医者と弁護士である。この2つの職業が、古来から人々を助け、幸福にするために存在しているからこそ、プロフェッショナルであると考えられていることは疑う余地もないだろう。


プロフェッショナルに特徴的な要素とは、プロフェッショナルは刀を持った存在だということである。刀とは、非常に危険な道具である。しかし、プロフェッショナルは、この刀を、人々を助けるために使うという強い使命感を持って仕事をしている、つまり、崇高な職業倫理があるということがプロフェッショナルの前提条件である。プロフェッショナルは常に腰に刀を差して歩いている人々なのであり、そんな人々が、一般人の前で刀を振りかざしたらどんなことが起こるか。そんな人々が社会から容認されるはずがない。危ない刀を持って歩いているからこそ、人々を不用意に傷つけたり恐れさせたりしないような細心の注意を払って仕事をしていかねばならないのである。


医者も弁護士も、刀に相当する非常に危険な道具を使って仕事をする。医者が使うメスは刀に似ている。弁護士は、法律という武器を使う。医療器具にせよ、薬剤にせよ、法律にせよ、これらの武器は、間違った使い方をすれば、人を傷つけ、殺してしまうことにもなる非常に危険な道具なのである。それだけの威力を持っているからこそ、それを正しく使えば、人々を助け、幸福に導くことが可能になるのである。ただし、それを正しく使うようになるためには、そうとうの鍛錬と修行を通じた技術を磨くことが必須であることに疑いの余地はない。


だから、ものすごく威力のある道具を使いこなせるようになるための高度な専門的知識の絶え間ない習得。そして、間違って使えば人を傷つけかねないその道具を、人々を助けるために正しく用いるための崇高な職業倫理観。この2つをかねそろえていることは、プロフェッショナルとよばれる職業の前提条件である。