言志四録に学ぶキャリア論

佐久間象山は「学問に道と芸あり」という。道とは人格形成の道徳であり、芸とは食べるための術(習い事)である。この二つを習得して一人前であると。のちにこの言葉が「東洋の道徳、西洋の芸術(科学)」に転化し、さらには「和魂洋才」の基となる。だが、戦後教育は「道」を忘れ、「芸」ばかりを学んで、医者は医術だけ、役人は行政技術だけ、と「いい職業」に就くための、受験勉強の学問をさせただけにすぎなかった(岬 2005:86[言志四録の解説文])

静かにしていることを好み、動くことが嫌いな者を、ものぐさという。動くことが好きで、静かにしていることを嫌う人は、あわて者である。軽はずみな人は事を鎮めることができず、ものぐさな人は事を成し遂げることはできない。・・・(佐藤[岬訳]2005:122)。

「人生は砂時計」であり、歳月の早さは年を取ってみなければなかなかわからないものだ(岬 2005:128[言志四録の解説文])。

四書五経論語孟子・大学・中庸・易経書経詩経礼記・春秋)などの経書は、もともとが天の理を著したものだから、いわば心を磨くための書である。だから字面や注釈にとらわれずに本質を理解することが大切(岬 2005:149[言志四録の解説文])