懸賞論文の入賞作と、現在のみなさんの論文の内容を比較すると、以下のような点を改善していく必要があります。頑張っていい論文に仕上げれて応募すればアルバイト代1ヶ月分くらいの見返りはあるでしょう。
まず、論文の中身もさることながら、論文の形式の部分で落第点のものがたくさんあります。これは門前払いの対象になります。みなさんは、就職活動になれば、必要以上に、髪型やスーツなどの身なりに気をつかうことになるでしょう。論文もまったく同じです。現在の状態では、「見た目」で失格の論文がたくさんあります。論文には書き方にルールがあります。さらに、懸賞論文などでは、執筆規定というかたちで、さらに厳密なルールがあります。それを守らなければ、第一選考の時点で一発で落ちます。ルールを守らなければ前に進めないことは明らかなのです。
そのほかの具体的な改善点は以下のとおりです。
全体的に分量が少ない。
- 基準の分量を多少超えても、それほど極端でないかぎりマイナス点にはならない。むしろ、内容が濃くなる分、印象はよくなる。基準の分量よりも少ないと、中身も薄くなるし、イメージが悪い。全体的にやや分量を増やす方向で考えるとよい。
日本語がきちんと使われていない。
- まだ、日本語の未熟な部分があるので、推敲を繰り返してきちんとした文章にしていく必要がある。たとえば、「である」調の文章に突然「ですます」調の文が混じっていたり、文章自体がこなれなかったり(主語と述語があわないなど基本的な文法間違い)、新聞や雑誌に使われるような軽い文章であったりする。論文らしい文章というものがあるので、それに従うべきである。せっかく内容がよくても日本語のミスが多ければ審査員の気分を害するのは明らかである。
- 就職の面接で、服装や言葉遣いがだらしなかったりいいかげんであったりすれば、いいかげんな気持ちで当社を受けているのだろうと思われて落とされてもしょうがない。論文もまったく同じで、誤字脱字が目立つような論文、推敲が十分に行なわれていない論文は、いいかげんな気持ちで投稿されたものだと思われても文句は言えまい。真剣さ、まじめさ、気合を示さなければならない。
書式が不適切なものが見られる。
- まず、要綱に書いてある書式を守ること。これは絶対条件。できればMSワードの標準のフォントサイズ(10.5)に統一し、見た目を整える。フォントが大きすぎるのは印象がよくない。また、箇条書きの集まりのような、論文の体裁を満たしていないものもある。論文の体裁は、過去の入賞作をよく研究してそれを基準にすること。
引用文献が少ないもしくは整理されていない
- 論文を書く際に、どこからか持ってきて書いた場合には必ずその出所・出典を引用文献として示す。論文の最後に、引用文献の項目を作ってそこに引用したものすべてをリストアップする。
- 引用文献の数がそもそも少ない。もう少し増やして中身を濃くするべき(骨組みに対して肉付けをよくする)。
- 引用の仕方などは、「論文・レポートの書き方」をよく読み、そこに書かれているやり方に従う。
アンケートやインタビュー結果の書き方
- アンケートやインタビューをやったときの記述が不十分である。いつ、どこで、何について、誰に、どのような方法でやったかをもう少し詳しく書いて、読者に、対象となるサンプル層の様子がわかるようにする。独自の調査は、論文の中でも重要な部分である(もっとも大きな貢献である)ことから、もう少しクローズアップ(強調)して書く。
パンチの効いたメッセージが少ない
- 論文は文字通り「論じる」ものであるから、読者に訴えたいメッセージがあるはずである。それがないと、読んでいてもつまらないしインパクトがない。何をこの論文で訴えたいのか、論じたいのかをパンチの効いたかたちで示せるとよい。
- まず、論文の最初の部分で、この論文で論じたいことはいったい何なのかについて、明確に述べることが必要。つまり、なぜこのテーマを選んだのか。どうしてこのテーマが重要なのか。論文の中でこのテーマのどういった部分を明らかにしようとするのか。それが明らかになることが、実践にどれだけ役にたつのかというようなことを、できるだけ盛り込んでみる。そうすることによって、読み手の注意をひくことができる。
図表を活用するとよい
- 表やグラフ、わかりやすい図を挿入することにより、本文の内容を見やすく、かつ理解しやすいようにすることはプラスの評価につながる。ビジュアル度を高めることは有効な策である。
自問自答のスタイルは有効である。
- 論文の中で、自問し、それに答えるスタイルはそれなりに読者をひきつける。つまり、論文の中で自発的に問題定義をし、それに答えるというかたちで話を進めていくのである。例えば、次のように自問する。「商品開発力は企業競争力を左右する。では、企業の商品開発力を高めるためにはどうすればよいのだろうか。」そして以下のように答える。「そのためには、次々とヒット商品を開発する企業のケースを詳細に分析し、そこから商品開発力のエッセンスを抜き出すことが有効であると考えられる。よって、本論文では、●●のケースをとりあげ・・・」。このような自問自答を続けていく。
3の法則も有効である。
- プレゼンテーションでは3の法則は有効である。「●●については3つのポイントがあります」と聴衆の気を引き、「まず1つめは・・・。そして2つめは・・・」というかたちで進めるとわかりやすい。論文においても、特定のセクションの内容を3点にまとまるように工夫するとよい。