素材をみる目

Disco Human Resource Plaza

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素材のどこを見るかというと、私の場合は最初、目だけです。目に輝きのある子、目が訴える子というのが基本です。街なかを歩いていても目の強い子がいます。思わず声をかけようかなあ、と思うような子がいるんです。この感じは、もう口では説明できないですね。感じ、としか言えない。数学と違って答えがあるものでもないですから。新人発掘をしている各社の人間がそれぞれ違う目をもって見ていると思いますよ。
養成学校の発表会でも、もう部屋に入ってきた時の雰囲気で「ああ、あの子いいな」ということになります。第一印象は本当に大切です。何がいいんだ?と訊かれても明確な答えは出ないんですが、でも何かある。逆に言うと、その「何か」を持っているからタレントになれるんだと思います。それは存在感みたいなものです。何か輝いている。その輝きを見逃さずに、砂のなかから光り輝くダイヤモンドを採る・・・、それが私たちの仕事なんです。砂のなかで泥だらけになっているので、光り輝くかどうかなんてわからないけれど、それでも「これは絶対ダイヤモンドだ」と信じて採るだけです。

素材を感じる目というのは、やはり経験から養われるものだと思います。だから、私はいろんな発表会やオーディションに顔を出すようにしています。発表会やオーディションの場合は、そのレベルも重要です。
・・・あとは時代のニーズです。アイドル雑誌に目を通したりして、今どんな子が売れていて、世の男の子たちが何を求めてこうした雑誌を買うのか、ということをリサーチして分析だけはしておきます。

人の一生を左右するとも言える大切な時期の人生を3年間預かるわけですから、こちらも本気で勝負してあげないといけません。その思いは採る採らないの判断をする際、心の奥底に必ずあります。逆に、こちらの人生もその子に賭けられるかどうかを考えます。自分の人生を賭けられる素材かどうか。そこで少しでも決断が鈍ったり、一瞬退いてしまったりする時は、間違いなく採りません。悩んだら採るな、というのが私の鉄則なんです。採った後に、私自身が自分の情熱を100%かけられる素材でないと、まわりもついてきてくれません。素材を見つけるのは一人でできても、売るのは全員でやらないといけませんから。

先着順採用

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私は、入社試験の面接でよく重視される「挨拶、姿勢、身だしなみ、言葉遣い」などは、どうでもいいことだと思っています。そんなものは、入社してからいくらでも教育できます。面接の上手な人が優秀な人材とは限りません。人はそれぞれ成長のスピードも違います。採用してからどうなるかなど、誰も予測できません。事実当社では、入社した頃には「こいつ、大丈夫か?」と心配しながら見ていた社員が、数年経って急に頭角を現し、「こいつ、天才じゃないか?!」と思える優秀な人材に成長を遂げたような例がいくつもあります。それもあって、かつては人材を選りすぐって採用している大手企業がうらやましいと思った時期もありましたが、10年ほど前からは先着順採用に絶対の自信を持って続けています。


大切なのは、人を採用する前ではなく、人を採用した後です。つまり、入社してからどう育て、いかに伸ばしていくか。当社では入社選考に労力とコストを費やさない分、入社後の人材育成の方に費やしていると言ってもいいでしょう。本人の資質がどうあれ、若手が伸びるかどうかの50%は経営者の責任だと私は考えています。


場所づくりと同じくらい大切なのがチャンスを与えてやることです。人材には適材適所というものがあって、人それぞれポジションがあります。最前線でのポイントゲッターもいれば、ベンチで采配をふるう者もいます。人に応じた役割を見つけて、しかるべきポジションに配置するのが経営者の仕事です。既存のフィールドや職務では生かされない能力を持った人がいるなら、その人に合わせた仕事を作り出すことも必要でしょう。大手企業では無理かもしれませんが、当社のような中小企業ならそうした取り組みも可能です。そうやって、社員一人ひとりにしっかり焦点をあてて見つめ、きめ細かく対応しながら相応のチャンスを与えてやれば、人は必ず能力を発揮するものです。


今、世間では成果主義が問題になっているようですが、あんなものは私にしてみればまさに問題外。人は自動車とは違います。評価項目を設定して測れるような存在ではありません。だからおもしろいのです。何が出てくるかはわからない。人とは、まさに無限の可能性を秘めた存在であると私は信じています。また、これまでその信念を裏切られたこともありません。

力士のスカウト

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スカウトの時点で私が着目するのは、その選手の立っている雰囲気、姿です。これは言葉では表現しにくい部分ですね。相撲には構えというものがあるんですが、取り口に合った構えをしているか、足が構えに備える動きをしているか、などをチェックします。ただ、素人の場合はそれができないことがほとんどなので、構えができていないなりにも、そのにおいが感じられるか、雰囲気があるか、というところを見ます。15〜16歳の選手の将来性を見るのに、その時点での相撲の勝敗はあまり参考にはなりませんね。


そして大切なのが、本人の気持ち。この世界には、素質があっても強くなれない力士がいくらでもいるんです。相撲は「心・技・体」とよく言いますが、その通りで、「技」と「体」だけでは強くなれない。まずは「強くなりたい」という気持ちが大切なんです。

自分のチームに「はまる」選手

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「良い」と言われる選手はもう決まってくるんです。良い選手は誰が見ても良い。ただそこでポイントとなるのが、その選手が自分のチームに「はまる」かどうかなんです。・・・そこに即戦力として選手を入れる場合に、ポジションが重ならないか、あるいは重なったとして育成上それでいいのかどうか。それをシビアに判断していくことになります。


もうひとつ重要なのが人間性セレッソの場合は特にこの点を重視しています。選手の資質を見る観点として、技術・技量は半分で、残り半分が人間性です。

フィジカルな要素や技術面のチェックはメジャーリーグ仕込み

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こうした評価基準は、私の場合、すべて向こう(アメリカ)へ行くことで学んできたものなんです。漠然と主観によって「良い選手」「悪い選手」と結論を出すのではなく、しっかりとした裏付けのある選び方をすることで、選手選択におけるミスの可能性を最小限にできるのです。


つまり、イマジネーションなんです。選手を見るときの細かいスペックや性格といった話をしましたが、それらを考えた上で最後には何かと言うと、イマジネーションの勝負になるんです。高校時代の選手を見て、彼が20歳、25歳になった時にどこまで伸びるだろうかと想像するイマジネーション。これがいかに働くかでスカウトの仕事は決まるんです。これは、一般企業の人材採用においても共通する部分じゃないですか?


では、そのイマジネーションはどうやって磨くかと言ったら、それはもう勉強しかない。私だって最初からスカウトをやっていたわけじゃありません。メジャーに接する中で、見るもの聞くものすべて体で吸収して、自分なりの選手の評価基準・観点を作り上げてきたんです。他人と一緒じゃだめ。他人が持っていない技術をいかに身につけ、他人に負けないものを持つか。それが大切なことなんです。