来年度の教育方針

私は講義内容や講義のやり方は毎年変えている。成功する場合もあるし失敗する場合もあるが、試行錯誤を続けている。本務校の来年度の講義では、学部1部、2部、北浜キャンパスで、「経営組織論」という同じ名称の科目が開講される。同じ名称であるが、来年度はすべて異なる内容にしようと考えている。


まず、すべて社会人である北浜については、ディスカッション主体の参加型にしようと考えている。実務家にとってはこれが最も学習効果が高いと考えているからである。2部に関しては、受講生が多いことが予想されるので、参加型は難しいが、実践的な内容にしようと思っている。いずれにせよ、とりわけ社会人は積極的に発言もするし、課題も真剣に取り組むのでそれほど心配はしていない。


1部の講義については、大きくやり方を変えて、アカデミック色の強いものにしようと考えている。その理由は、実務経験の稀薄な大学生に対し、実践的な内容を話してもピンとこないことが多いことがわかってきたからである。それと、いくら実践的といっても、すぐに役立つようなノウハウっぽいことを教えることは、大学生には長期的によくないと思うようになってきたからである。


大学生に必要なのは、むしろじっくりと考える癖を身につけることなのだと考えるようになってきた。要するに、若いうちは、現実を知らない青臭い理論家であっても構わないのではないかと。だから、学部の講義は、経営現象をアカデミックな視点から考えてみることの面白さを伝えたいと思う。そのまま現実の世界にあてはまるとはいえないのだけど、論理的に考えるとこうなんだよと。論理的思考、批判的思考は、社会人になってから役立つと思うし、そもそも、アカデミックな視点でものごとを考える楽しみなんか、大学生のときくらいしか経験できないだろうし。平気で机上の空論ができるのなんか今しかないよ、というわけで。