優れた聞き手になるための「セイバック技法」と「IQR戦術」

ヴァンス(2012)は、グローバルに活躍するビジネスパーソンに不可欠なリスニングを強化し、優れた聞き手になるための手法として「セイバック技法」と「IQR戦術」を紹介している。これは、会話において「はいそうですか」とうなずくだけの聞き手を超えるための手法であり、会話の論点の知識を掘り下げながら、建設的な話し合いをリードしていくための手法でもある。


セイバック技法は3つのステップからなる。まず、話し手から聞いたことを自分が理解できているかを確かめたいという意図を伝える。例えば、"So, you seem to be saying that..."というような語りかけである。次に、話し手の主要なポイントを要約する。例えば、"You mentioned that..."というように要点を短くまとめる。最後に、自分の理解が正しいかどうかを、話し手に確認してもらう。例えば、"Is that about right?"というように語りかける。このようにしてセイバック技法は話の要点をまとめ、効率的な会話の展開を可能にするとヴァンスは言う。


IQR戦術とは、Issue-Question-Resolution戦術の略である。これは、有意義な質問をするための3つのステップである。最初の「Issueにズームする」というステップでは、話し手の情報を明確に理解できている場合には、"You mentioned that..."のように、自分が関心を持っている部分にズームインしてみる。話し手の情報を理解できたかどうか不確かな場合には、"You said something about ..."のように表現する。


次の「質問する(Ask Questions)」のステップでは、情報を求める質問(Who, Why, How, Where ...)や、Yes/Noを求める質問(Are you, Do you, Is it...)を使いこなす。前者は本質や根本を扱うのに適しており、長い回答を求める傾向にある。最後の「解決済みにする(Achieve Resolution)では、回答に満足した場合には"Thanks, that's helpful"のように「回答済み」のメッセージを伝えるか、満足していない場合には"Oh, that wasn't quite what I was asking"などのようなメッセージを送る。


「セイバック技法」と「IQR戦術」を活用すれば、聞く力をグローバルレベルに引き上げることができるのだとヴァンスは言うのである。