人生の大勝負に打って出る

堀(2008)は、自身のキャリアを振り返りつつ、人生における大勝負に打ってでることの大切さを説いている。勝負どころとなるきっかけを自分で見いだし、自分でつくる。そして、ここぞというときには、失敗を恐れず決断をすることだ。今は人気コンサルティングファームであるBCG(ボストンコンサルティンググループ)への転職について、以下のような経験談を披露している。

BCGに入社した初日、・・・その朝もらったばかりのBCGの健康保険証を持って会社から二十メートルしか離れていない消費者金融に10万円を借りに行ってみたのだが、ろくに審査もされずに断れられた。・・・BCGという会社には10万円を借りられるだけの信頼もないのだということを確認したのである(堀 2008:145)

ここが勝負時だと思えば、乾坤一擲、全力を尽くすのは当然だが、勝ち負けは度外視するべきである。本気で勝負に打って出たなら、たとえ負けたとしても、そこで得られるものは大きなものになるはずなので、次の勝負機会を窺えばいいのである。


ただし、負けそうになったときには、どんな手段をとってでも、とにかく同点にして延長戦に持ち込むことも重要だ。負けてしまえばそこで終わりだが、負けさえしなければ、その後に何が起こるかわからない。絶好のチャンスが巡ってくるかもしれない。絶対ダメだと思える状況でも「もう1センチだけ頑張ってみよう、努力してみよう」と思うことだ。大逆転勝利の可能性を消さないことだ。


堀によれば、失敗の数とは、人生の勲章の数であり、失敗はおそれる必要もないものであり、失敗すればそこから何かを学びとることができるのである。困ったことが多くて自然なのだから、自分がひどい目に遭ったときには、「ひと皮剥けるチャンウを得た」と思えばいいのである。困難な状況こそ、人を成長させるのである。