リアルオプション的人生理論

勝間(2008)は、リアルオプションおよび意思決定ツリーの考え方を使って、人生(およびキャリア)が意思決定の鎖であることをうまく表現している。


彼女によれば、まず将来もしくは運命は「ばらつき」(過去のいろいろな努力に基づく確率分布)だと考えられる。そして毎日100個も200個も意思決定をしている(朝何時に起きて、何を食べ、どの道を通って・・・などの日常の些細な意思決定を含む)。そして多くの場合、それは無意識的(潜在意識にプログラム化されている)である。


だから、同じスタートであっても、毎日決めていることと将来のちょっとしたことが積み重なって、どんどんシナリオが変わっていくわけである。毎日何百もの意思決定オプションがあって、それがツリー状になっており、それを通じて人生が決まっていくということだ。到達すべき目標をもって一つ一つの意思決定をこなしながらツリーを渡っていくか、無意識的・場当たり的に物事を決めながらツリーを渡っていくかでは長期的に見て、成長度合いや人生の充実度に雲泥の差がでてくるだろう。


だから、自分の目標を意識して、潜在意識で処理されがちな日々の些細な意思決定を、意識的に目標に向うように意思決定していくことで、成長のパス(経路)を切り開いていくことが、「引き寄せの法則」の正体ではないかと言う。意思決定ツリーの1つ1つで確実に損失のオプションを捨てていくことができれば利益機会が無限にある。まさにリアルオプション的な人生論なのである。


ちなみに、勝間氏による人生の成功の定義は「自分の能力を最大限に発揮することで、周りの人の助力を得ながら、自分の好きなことを達成し、それで他の人に貢献できること」である。