キャリアデザインを、自分の今後のキャリアのあり方について、何を選択し、何を捨てるかといった意思決定の問題であるととらえるならば、確かに、キャリアデザインは人生の岐路のような重大な局面での意思決定と関連が深い。そういう意味では、節目においてじっくりと考えてデザインする類のものであるかのように思える。
しかし、そのような大きな意思決定に至る前には、日常の意思決定があるのであり、日常の意思決定の積み重ねが、大きな意思決定の選択肢を左右している。例えば、日常の意思決定の積み重ねによっては、大きな意思決定のさいの選択肢を狭めてしまうことにもなりかねないし、逆に、日常の意思決定の積み重ねの効果として、幅広い選択肢があったり、魅力的な選択肢があったりする。よって、キャリアデザインを、大きな意思決定場面に限定せず、日常の意思決定にまで適用して考えることは重要である。つまり、重大な意思決定場面に遭遇する前に、すでに日常の意思決定の積み重ねによってキャリアの方向性や選択肢をある程度限定していると考えられるのである。