キャリア・ネットワーキング戦略

ノースウエスタン大学ケロッグビジネススクールのウズィ(Uzzi)教授によると、優れた人的ネットワークを有していることが自分を有利にし、キャリアの成功につながる理由としては3つある。


1つ目は、ネットワークから私的な情報を入手できることである。インターネットやメディアから手に入る公の情報を入手しても競争優位性は低いが、公には出回らない、あるいは出回る前の私的な情報は、仕事などに有利なかたちで活用できる。2つ目は、多様なスキルセットへのアクセスである。自分のネットワーク上の人々が持っている多様なスキルをうまく組み合わせることによって、創造性を発揮したり、難しいことを成すことができる。3つ目は、ネットワーク上において、異なるクラスターの仲介(ブローカー)としての位置取りをすることによって、権力を得ることができるということである。なぜなら、一方のクラスターから他方のクラスターへ情報を流すためには、自分を介さなければならないからである。仲介することによって手数料のようなプレミアムをを取ることができる。


これらの3つの有利性をもったネットワークを構築できれば、自分を有利な立場に押し上げ、キャリアの成功につながるだろう。しかし、黙っていてはこのようなネットワークは構築できない。なぜなら、一般的に、人々は、似たもの同士がつながっていき、あるいはお互いに近しい人(例、物理的に近い人)がつながっていくからである。そうなってしまうと、自分の有するネットワークは、似たもの同士の閉じたネットワークになってしまって、外に広がっていかない。そうなると、上に上げた3つの優位性を獲得することができない。


したがって、多様な人々からなる開かれたネットワークを戦略的に構築していくためには、少し工夫がいる。しかし、難しいことではない。それは、レジャーとかボランディアとか、年齢やバックグラウンドなどで異なる人々と、なにか一緒に活動する機会を持つことである。自分の趣味や、余暇の時間を最大限に活用してみたらよいだろう。

文献

Uzzi, Brian and Shannon Dunlap. "How To Build a Better Network," Harvard Business Review, December 2005, Vol. 83 Issue 12, p53-60.