編集作業としてのキャリアデザイン


キャリアデザインとキャリアドリフトは対立する概念であるかのような議論がなされることがある。わかったようでわからないような言葉だが、平たく言うと、キャリアデザインとは、キャリアを計画すること、キャリアドリフトは、キャリア形成にあたって、状況に(あえて)流されることとすると、両者は対立しているように思えるのだが、実は、そうではなく、むしろ、キャリアデザインとは、この両者を含むものであると考えられる。


そのように捉える鍵は、キャリアデザインを、編集作業として理解することである。以下のリンクにあるように、キャリア形成には、些細なことから、重大なものまで、断続的になんらかの意思決定や選択が絡んでくるが、それらは偶然性や即興的な性質を持つ。1つは、人間は完全に合理的ではないから、場当たり的になったり、その場で利用可能な情報だけに頼らざるを得ない場合が多いこと。もう1つは、最近はやりの「計画された偶発性」や「セレンディピティ」のように、あえて流れに身を任せたりすることによって、偶然を味方につけることの優位性である。


しかし、キャリア形成のすべてが偶然性や即興的なわけではなく、出来事のストーリー化と、それに基づくなんらかの編集作業を行うことによって、そこにひとつの筋道を作っていくことになる。これこそキャリアの編集作業であり、キャリアデザインであるといえる。


即興劇とキャリア・ストーリー
http://d.hatena.ne.jp/sekiguchizemi/20061108


キャリアデザインとキャリアドリフトの対立構図の例
http://www.itmedia.co.jp/bizid/articles/0704/03/news031.html