トライアンギュレーション


http://www-soc.kwansei.ac.jp/tatsuki/Thesis97-98/BurnOut/3grouded.html

質的調査の妥当性について次のように説明している。結果をより確実にするには、単一の出所のデータを使うだけでは不十分である。すなわちデータは、可能であれば直接指標と間接指標を双方とも使用する、客観的な記録と個人的な記述の両方を使用する、参加者と観察者双方からのデータを使用するなどが必要となる。どのような組み合わせが良いかは調査によって様々である。このように、多様な観測の線(lines of sight)を使うことは、「トライアンギュレーション(triangulation)」と呼ばれることが多い(Berg,1995)。Berg (1995)はトライアンギュレーションを次のように説明している。すなわち、すでに事象の中で分かっている点(対象)のうち、3点を直線(lines of sight)で結び、三角形を作る。この三角形は「誤差の三角形(triangle of error)」と呼ばれるものであり、トライアンギュレーションとは、この三角形の中心が対象となる事象の真の位置を最も予測しているという考え方である。

理論に基づくサンプリングとは、そのカテゴリーを代表することを確認する必要がある際に行われる。グラウンデッド・セオリーで行う理論的サンプリングとは、他の質的調査に共通するトライアンギュレーションの原理に相当する。その場の事実が他の場においても存在することを見出し、その場の人の確信の程度と、その確信と行為が一致していることを確認する作業は、質的研究を行う場合に求められる妥当性の検証である。つまり、カテゴリーの検証と制度や緻密さを高めるためのサンプリングは、そのカテゴリーを証明するために、すなわち妥当性を証明するために行われる。

質的研究の広場

http://www.geocities.co.jp/Technopolis-Mars/4688/
http://www.geocities.co.jp/Technopolis-Mars/4688/sub3.html

質的研究では「主観と客観の融合」が図られます。「主観と客観の融合」というと、格好いいような、それでいて矛盾しているような響きがありますが、質的研究にとっては生命線ともいうべき重要な作業です。つまり、自分の主観や第三者の主観を認識することによって客観に近づく作業を意味しているのです。質的研究では“互いに認識し合う主観”として、調査者自身や第三者、場合によっては参加者自身の主観を利用する方法論があります。

グランデッド・セオリーアプローチの骨格となるのは“絶えざる比較”です。これはいろいろなソースから得られた情報を比較・分析してグランデッド・セオリーを導こうとする作業です。この作業は一種のトライアンギュレーションです。トライアンギュレーションとは異なる手法や異なる調査者による調査を行ったり、場合によっては異なる参加者による結果を利用して研究の確からしさを高めようとする工夫のことです。この“絶えざる比較”を行うにあたっては、常に適切な理論的感受性による適切な理論的サンプリングと適切な分析が行われる必要があります。こうしたさまざまな研究過程を経て、はじめてグランデッド・セオリーに至れるのです。


現在の質的研究をとりまく議論は複雑です。「反構造主義」、「ポスト・モダン」、「反実証主義」、「構築主義」、「シンボリック相互作用論」、「シュッツ理論」など、社会思想の歴史と共に発達した世界です。