ほとばしる生命とビジネス倫理学

この世に次から次へととめどなく新しい生命が生みだされ、勢いよく成長していき、その一方で、生命をまっとうしたもの、役割を終えたものがつぎつぎとこの世を去っていく(もといたところに戻る)という世の中の掟(天地自然の法則)は、この世に存在するほんとうの生き物のみならず、人間によって社会的に構築される組織や企業、商品といったさまざまなモノやコトに対しても当てはまると思われる。


つまり、この世に次々とあたらしいもの、革新的なもの(商品、サービスを含むいろんなもの)が創り出されるというのは、いってみれば自然の摂理であるとも考えられるのである。自然の摂理であるから、それは放っておいても起こることなのであり、そして自然の摂理にあっている「良いもの」もしくはこの世に役立つ重要な役割を担うものは、勢いよく成長・拡大し、長く生きながらえ、いっぽうで自然の摂理に合わないもの、もしくは役割を終えたものは、衰退し、消滅することによってこの世から去っていく。


このような生成発展の自然の摂理は、マクロ的にみればわれわれの意志をはるかに超えた動かしがたい動きであるわけだが、ミクロ的な視点から、一個人であろうと国や企業や組織であろうと、この世で活動する主体の立場からこの「偉大な」天地自然の法則を眺めるならば、自分たちの行いがこの自然の摂理と合致しているか、世の中の役に立っているか、世界を発展させる重要な役目を担っているか、という、いわゆる「善いこと」をしているか、というのが、ビジネスや生き方を含む全般にたいしていえる重要な思考・行動基準だといえるであろう。


それを理解すれば、単なる私利利欲のために行う商売や、人の幸福を奪うような不道徳なビジネスは、一時は成立するにしても、長続きするはずがないであろうことは容易に想像できるであろう。