組織デザインとキャリアデザイン


わたしは、最近、組織デザインとキャリアデザインの両方を教えることが多い。


しかし「組織デザイン」「キャリアデザイン」と、どちらもデザインをすることが主たるテーマになっているのだが、この両者、かなりイメージが違う。「デザインとは何か」という根本的な問題を考えさせられるような対比である。


どうイメージが違うのか。まず、組織デザインというのは、組織構造のデザイン、つまりかなり静的かつ機械的な組織を「設計」するというイメージがある。一方、キャリア・デザインについては、「キャリア」というのは、かなり動的な概念で、キャリアに構造があって、キャリアが機械的であるとはイメージしにくい。がゆえに、キャリアを何か止まった物体としてみることにはかなり無理がある。そういった動的な「プロセス」をデザインするとは、プロセスの道筋を作っていくということなのだろう。


しかし、「組織」も「キャリア」も、手で触ったり見たりできるような物理的な物体ではない。しかし、一般的に、組織が静的に、キャリアが動的にとらえられがちであることは確かでだろう。だが、それはあくまで、そういうイメージだというのであって、その違いにしたがってデザインを理解することが適切であるとは限らない。例えば、組織デザインにしても、組織が静的で機械的というのは、組織の一面を捉えているにすぎず、そのような観点で組織デザインを理解しても、それは有効な組織マネジメントにつながるとはいえないであろう。組織だって、プロセスであると考えることもできるのだから、キャリアデザインから来る動的な理解を、組織デザインに適用することだって可能だろう。