人は、異文化に身を投じたとき、どれだけ早くその文化に適応できるのだろうか。例えば、グローバル企業の社員であるあなたが、マネージャーとしてアメリカ子会社に赴任したとしよう。あなたは異文化の地で、マネージャーとして、部下のアメリカ人をうまく束ねて業績を上げることができるだろうか。アメリカではなく、ヨーロッパだったらどうか。当然のことながら、すぐに異文化に適応して活躍できる人と、異文化に適応できなくて実力を発揮できないまま失敗してしまう人といるだろう。この違いを分けるのが、文化的知能である。
文化的知能(カルチュラル・インテリジェンスもしくはCQ)とは、クリス・アーリーらによって提唱された概念である。文化的知能は、3つのコンポーネントからなる。
- ヘッド(思考力)
- 異文化の知で何が起こっているのかを即座に理解し、学習し、自分のもものにする力。新しい状況における学習能力。
- ハート(奮発力)
- 異文化に適応できるという自信と、そのために自分自身を奮い立たせることができる力
- ボディ(行動力)
- 相手の文化の風習をまねて行動できる力、ヘッドによる文化の理解と、ハートによる情熱、発奮を、実際の文化適応的な行動に変換できる能力。
参考文献
Early, P. C., & Mosakowski, E. (2004). Toward cultural intelligence: Turning cultural intelligence into a workplace advantage. Academy of Management Executive, 18 (3), 151-157