マナーの悪い学生

最近、最低限のマナーを守れない学生が気になる。少数なんだろうが、本人たちが不利益を被るのは自業自得なのでまだいいのだが、そういう人たちのせいで、頑張っているほかの学生さんが不利益を被るのがかわいそうでならない。例えば、マナーの悪い学生のいる授業を快くできるはずがない。そして、その不快な気持ちは、授業の質を低め、その授業をまじめに受講している学生さんたちの学習も妨げてしまう。そればかりではない。「あの大学の学生は・・・」という悪いイメージによって、優秀な学生までもその大学に通っているという事実だけで低く見られてしまう。


しかし、一番かわいそうなのは、最低限のマナーも守れない学生さん本人たちであろう。小学校・中学校で教えてもらうような基本的なことが、もしくはもっと小さいときに親から教わるべきことを、教えてもらう機会を与えられないまま今まで来たのだから。ほんとうに気の毒である。


だったら、大学が代わりに小中学校で教えるマナーを手取り足取り教えてあげる必要があるのだろうか・・・わたしはそうは思わないが。大学というのは、高い授業料を払って、親や小中学校の代わりにマナーを教えてもらいに行くところなのだろうか。企業から苦情がくる。「学生のマナーがなってない。大学はいったい何を教育してるんだ。」わたしは「ちょっと待って」と言いたい。


わたしがここで言っているマナーは決して技術論ではない。作法はとても大切であることは否定しない。けれども、大事なのは、気持ちの部分だと思う。例えば、1対1で話をしているときに、人の話をまったく聞かず、無視して、例えばケータイのメールを打っているとする。相手はどんな思いをするだろうか。そういう問題である。1対1でなく1対多数になったら、人の話を無視して隣同士でおしゃべりしてもいいのだろうか?自分が反対の立場だったらどう思うだろうか。あるいは、高いお金を払って楽しみにしていた芝居を見ているときに、近くに私語でうるさい客がいたらどう感じるか。人の立場になって考えるというのは、自分を相手の立場に移し変えて状況を理解することに他ならない。これは一種の重要な能力であるが、一部の人間にしかできない高度な能力だとは決して思わない。親がしつけをしたり、小中学校で教えてもらえればできるようになるはずだと思う。