計画された偶発性・偶キャリの法則


スタンフォード大学のクランボルツ教授による「計画された偶発性」。あるいは偶キャリの法則。英語では、Planned Happenstance Theoryという。


「個人のキャリアは、偶然に起こる予期せぬ出来事によって決定されている」「その偶発的な出来事は、主体性や努力によって意図的に生み出すことができる」「その活動によって、キャリアを創造する機会を生み出すことができる」というような説明がなされる。


たしかに、意図せざるような出来事が自分のキャリアを左右するような気がするが、実は、そのように見えるものの本当の偶然性によって起こった出来事なのではなく、ほとんどが、自分で種をまいた結果であるのではないだろうか。


だから、よく考えてみると、必ず自分に原因があるのだ。原因を自分が作り出しているから、起こるべくして起こった出来事であるわけだが、マーフィーの法則でいうところの「起こる可能性があるものは、いずれ起こる」というのと同じで、いつ起こるかということはなかなか予想できないのだ。だからこそ「いつ起こるかわからないけれども、自分で種をまいている以上、いつか起こる可能性のある出来事について、それが起こったときにすぐにそれを自分のキャリアに生かせるように、準備しておく」ということが大切なのだろう。


例えば、留学がしたいという希望をもち、周りに人々に事あるごとに留学を希望している旨を熱く語るとしよう。これはまさに、留学の機会を生み出す種をまいているのだ。種をまいている以上、どこかでその種が芽をだして育ってくるわけで、「あの人が留学したがっている」という情報がいろんなところに伝わって、それが具体的な留学機会と結びついてくるわけである。もちろん、それがいつ起こるかはわからないし、どんな内容なのかも不確実だ。そういう意味では、予期せぬ出来事とか意図せざる結果と言えるかもしれない。しかし、種をまかずして、ほんとうの偶然に留学機会がやってくるということこそ、ほとんど起こらない稀な出来事で、これは「計画された偶発性」が意図するキャリア形成の範疇には入らないだろう。