クリエイティブ打ち合わせ術

佐藤(2014)は、「打ち合わせ」は「仕事そのもの」であり、最高に質の高い打ち合わせを重ねることが仕事の質を高める秘訣だと示唆する。少なくとも、打ち合わせによって、プロジェクトなりテーマなりが少しでも前に進むことが大切だという。また、すべての打ち合わせは「クリエイティブの場」だという。つまり、打ち合わせに出るときは、クリエイティブな仕事をするんだ、何かを皆で作り上げるんだ、という意識を持って臨む必要があるということである。


そのような打ち合わせにおいて最も大切な能力は、どんな打ち合せになるかイメージしておく力、すなわち「イメージ力」であると佐藤はいう。どんな素晴らしいアイデアも、デザインも、プロダクトも、すべて「こんなものがあったらいいな」「こういうことが起きれないいな」といったぼんやりとしてイメージから始まる。つまり、すべてはイメージから始まる。そのぼんやりとしたイメージを意見としてぶつけあうことで具体化していくのが、打ち合わせの場だというのである。正解はあるのではなく、一緒に作るものなのである。


また、「感じる力」を磨くことも大切だと佐藤は指摘する。世の中の景気にしても、モノが売れる、売れないということも、人々が感じていることの集積なのだから、感じる力を磨くことは、仕事の力を磨くことだというわけである。各自が感じたことをインプットする習慣をつけ、「感情の議事録」を脳内につくる。それをふまえれば、打ち合わせというのは、感じたことをお互いにぶつけあっているうちに、出席者の脳の中が整理されて、ひとつの形になっていくプロセスになるのである。


打ち合わせで重要な役割を果たすのが「ファシリテーター」である。佐藤によれば、ファシリテーターは、単なる司会者ではなく「打ち合わせをデザインする人」である。みんながイメージを出したり、発言しやすくしたりする環境づくりをすることが大切である。打ち合わせは「ライブ」であり、ライブは盛り上がったほうがいい。「今日は楽しかった」とみんなが思うような打ち合わせができれば最高だと佐藤はいうのである。


また、ファシリテーターは、発言者を積極的に褒める、相手がやる気になる言葉をかける、といったように、メンバーのやる気を高め、いろんなスタッフを巻き込んでいくことが期待される。特に、「世界に出ていくような仕事をしよう」「日本中をびっくりさせよう」といったように、位置づけや「大義」をしっかりと表現するとチームのテンションがあがると佐藤は指摘する。


ブレインストーミングをする際には、お互いの頭の中にあるものをいかに引っ張りだしていくことができるかが勝負となる。そのためのきっかけとして、例えば一気に「極論」に振って、話を展開させてみる。あるいは、誰かの発言から気になるキーワードや「断片」を拾って、次の話の展開につなげていくことも大切である。意識としては「くだらないことを言い合う場」くらいに思っていればよいというのである。


さらに佐藤は、打ち合わせでは「事情のパワー」に流されないようにしないといけないという。何か新しいことをしようとすれば、「事情があって」という言い訳のもとで、それができない理由を並べだすことがある。これを並べている限り、新しいことはできない。佐藤は、優れた仕事人というのは、その流れを変えられる人だというのである。


佐藤によれば、会食も「打ち合わせ」である。そんな大事な場だから、このことを話そう、と事前に決めておくのだと佐藤はいう。また、会食を「未来を語らう場」にすることを意識しているのだともいう。